むかし、むかし、あるところにおじいさんとおばあさんがいました。
毎日、おじいさんは山へしば刈りに、おばあさんは川へ洗濯に行きました。
ある日、おばあさんが川で洗濯をしていると、
そこへ川上から大きな桃がどんぶらこ、どんぶらこと流れてきました。
「なんと大きな桃でしょう！ 家に持って帰っておじさんと一緒にいただきましょう。」
とおばあさんはその桃をひろいあげ、家に持って帰りました。
おじさんとおばあさんがさっそく桃を切ろうとすると、
桃はぽんっと二つに割れ、中から大きな赤ん坊が出てきました。
「おやおや、まあ。」二人は赤ん坊が出てきてとても驚きました。
しかし子どものいなかった二人はこの子は神様からの贈り物に違いないと、 とても喜びました。 「何という名前にしましょうか。」
「桃から生まれたから、桃太郎というのはどうだろう。」
「それがいい。」
桃太郎はあっと言う間に大きくなり、立派な優しい男の子になりました。
ある日のことです。
桃太郎はおじいさんとおばあさんに言いました。
「鬼ケ島に悪い鬼が住んでいるというのは本当。」
「ああ。時々村に来て悪いことをするのでみんな困っているんだよ。」
とおじいさんが答えました。
「それでは私が行って鬼を退治してきましょう。」
おばあさんは桃太郎のために日本一おいしいきび団子を作りました。
桃太郎はそのきび団子を腰の袋に入れると、 さっそく鬼ケ島に向けて旅立ちました。
鬼ケ島へ行く途中、桃太郎は犬に会いました。
「桃太郎さん、桃太郎さん、袋の中に何が入っているの。」
「日本一のきび団子だよ。」
「僕に一つくれればお伴します。」
犬は桃太郎から一つ団子をもらい、桃太郎の後をついて行きました。
桃太郎と犬が歩いて行くと、猿がやってきました。
「桃太郎さん、桃太郎さん、袋の中に何が入っているの。」
「日本一のきび団子だよ。」
「僕に一つくれればお伴します。」
猿は桃太郎から一つ団子をもらい、桃太郎の後をついて行きました。
しばらく行くと、今度はきじが飛んできました。
「桃太郎さん、桃太郎さん、袋の中に何が入っているの。」
「日本一のきび団子だよ。」
「僕に一つくれればお伴します。」
きじは桃太郎から一つ団子をもらい、桃太郎の後をついて行きました
桃太郎と犬と猿ときじがしばらく歩いて行くと島が見えてきました。
「あれが鬼ケ島に違いない。」犬が吠えました。
鬼ケ島に着くと、お城の門の前には、大きな鬼が立っていました。
しかし、きじが鬼の目をつつき、猿が門に登って鍵を開けました。
「こりあ参った。」と門の前にいた鬼たちは逃げていきました。
すると今度は奥から大きな鬼が出てきて、
大きな鬼は大きな鉄棒を振り回しながら言いました。
「生意気な小僧。俺様がこらしめてやる。」
「あなたがかしらですか。」と言うと 桃太郎はすばやく鉄棒の上に飛び乗りました。
「村人に悪いことをするような悪い鬼は許せない。
私のこぶしを受けてみろ。」
「アイタタ、ごめん。ごめん。降参だ。宝物をやるから許してくれ。」
桃太郎は金や銀、荷車一杯の宝物を手に入れ、
おじいさんとおばあさんのところ戻って行きました。
その日は良く晴れたとても素晴らしい一日で、
その後、鬼が村で悪さをすることもなくなったとさ。